今、秋田県で新しい動物愛護センター(ワンニャピアあきた)の開所以降、保護される犬猫が増えるという想定外の事態が起きています。
以前、当サイトでも紹介したとおり、ワンニャピアあきたは「動物にやさしい秋田」を掲げる県が、殺処分ゼロに向けた活動の拠点として運営する施設。保護した犬や猫の心身をケアした上で、新しい飼い主へ譲渡することに最も力を入れていますが……同施設・金和浩所長は沈痛な面持ちで語ります。
「施設が保護してくれるからと、安易に捨てる人がいるのかもしれません。確かにワンニャピアあきたは、飼い主のいない犬猫の保護と譲渡を担う施設ですが、それには限界があり、すべてを救うことはできません。殺処分ゼロの実現は、一人一人が動物との正しい関わり方を意識し、無責任な行為に及ばないのが大前提だということを忘れないでほしいと思います」
そして残念なことに、秋田犬の保護件数も増えています。
驚くのは、長年人と過ごしたと思われる成犬や、死期の迫った老犬が保護されるケースまであったこと。この件に関し、ONE FOR AKITA・鈴木明子理事兼ドッグトレーナーは次のように語ります。
「ワンオーナードッグとも呼ばれ、一生飼い主を思い続けるのが秋田犬。そんな彼らが捨てられたことに気づいた時、心にどれほどの傷を負うか、飼い主なら想像できるはずなんですけどね。言うことを聞かなくなった、手に負えなくなったからと飼育を放棄する前に、一度立ち止まってじっくり考えてみてほしいと思います」
金所長の言葉にもあるように「動物にやさしい秋田」は、自治体や関係機関の取り組みだけで実現するものではありません。一人一人が家族同然である自分のペットを大事にするのはもちろん、遺棄の現場を目撃した際には最寄りの交番・警察に連絡を入れるなどして、見て見ぬふりをしないことも大切です。この問題を、皆でしっかり共有していきましょう。
今年1月12日に保護された推定5〜7歳の秋田犬
「飼い主にかなり叩かれていたようだ。心のケアには時間がかかるだろう」と鈴木トレーナー